不動産を売るなら、できるだけ高く売りたいですよね。でも、「とりあえず不動産会社に任せればOK!」というわけではありません。売却価格を最大化するには、適切な戦略と準備が必要です。
まず大事なのは、「市場の相場を知ること」です。似た条件の物件がどれくらいの価格で売れているのかを調べ、適正な売却価格を把握しましょう。高すぎる価格を設定すると売れ残り、逆に安すぎると損をしてしまいます。
次に、「信頼できる不動産会社選び」が重要です。売却の成功は不動産会社の腕にかかっているといっても過言ではありません。特に「媒介契約」の種類によって売却の進め方が変わるため、どの契約を結ぶかを慎重に選ぶ必要があります。
では、そもそも「媒介契約」とは何なのか? どの契約を選ぶと高額売却しやすいのか? それぞれの契約の特徴とメリット・デメリットを詳しく解説していきます!
媒介契約とは
「媒介契約」とは、不動産を売却する際に、不動産会社に売却活動を依頼するための契約のことです。この契約を結ぶことで、不動産会社が買主を探したり、広告を出したり、売却交渉をしてくれます。
ただし、一口に媒介契約といっても 「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」 の3種類があります。それぞれ特徴が異なり、どの契約を選ぶかによって売却の進め方や不動産会社の対応が変わるため、慎重に選ぶ必要があります。
専属専任媒介契約の特徴とメリット・デメリット
専属専任媒介契約 は、不動産の売却を 1社の不動産会社に独占的に依頼する契約 です。さらに、自分で買主を見つけた場合でも、不動産会社を通じて契約をしなければなりません。
特徴
- 売却を依頼できるのは 1社のみ
- 自分で見つけた買主とも直接契約できない
- 不動産会社は 5営業日以内にレインズ(不動産情報ネットワーク)へ登録
- 1週間に1回以上 の販売状況の報告義務あり
メリット
✅ 不動産会社が本気で売却活動をしてくれる
→ 他の会社と競合しないため、広告費をかけて積極的に宣伝してくれる可能性が高い。
✅ 販売状況を定期的に報告してもらえる
→ 1週間に1回以上の報告義務があるため、進捗が把握しやすい。
✅ レインズに登録されるので情報が広まりやすい
→ 全国の不動産会社に情報が共有され、購入希望者を見つけやすくなる。
デメリット
❌ 不動産会社によっては売却が後回しにされることも
→ 依頼した会社が熱心に動いてくれないと、なかなか売れないことも。
❌ 自分で買主を見つけても直接契約できない
→ 友人や親族が買いたいと言っても、不動産会社を通さないと契約できない。
こんな人におすすめ!
✅ 不動産会社にしっかり売却活動をしてもらいたい人
✅ こまめに販売状況をチェックしたい人
✅ なるべく早く確実に売りたい人
専任媒介契約の特徴とメリット・デメリット
専任媒介契約 は、1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約 ですが、自分で買主を見つけた場合は直接契約が可能 という点が、専属専任媒介契約との違いです。
特徴
- 売却を依頼できるのは 1社のみ
- 自分で見つけた買主とは 直接契約できる
- 不動産会社は 7営業日以内にレインズ(不動産情報ネットワーク)へ登録
- 2週間に1回以上 の販売状況の報告義務あり
メリット
✅ 不動産会社が積極的に売却活動をしてくれる
→ 競合がいないため、広告や宣伝に力を入れてくれることが多い。
✅ 自分で買主を見つけたら不動産会社を通さなくてもOK
→ 例えば、親戚や友人が購入を希望する場合、仲介手数料を節約できる。
✅ レインズに登録されるため、広く情報が共有される
→ 他の不動産会社経由で買主が見つかる可能性も高まる。
デメリット
❌ 売却を1社に任せるため、対応が悪い会社だと売れにくくなる
→ 会社選びを慎重にしないと、売却がスムーズに進まないことも。
❌ 専属専任媒介契約より販売状況の報告頻度が少ない
→ 2週間に1回の報告なので、進捗状況を細かく知りたい人には物足りない可能性あり。
こんな人におすすめ!
✅ 不動産会社にしっかり売却活動をしてほしい人
✅ 自分で買主を見つけた場合に直接契約したい人
✅ こまめな報告がなくても問題ない人
一般媒介契約の特徴とメリット・デメリット
一般媒介契約 は、複数の不動産会社に売却を依頼できる契約 です。専属専任媒介契約や専任媒介契約と異なり、1社に限定する必要がなく、より広く買主を探せるのが特徴です。また、自分で買主を見つけた場合も自由に契約できます。
特徴
- 複数の不動産会社に依頼できる
- 自分で見つけた買主と 直接契約できる
- レインズへの登録義務なし(任意)
- 販売状況の報告義務なし
メリット
✅ 複数の会社が同時に売却活動をするため、売れるチャンスが広がる
→ 1社だけに頼るより、多くの不動産会社が動いてくれる可能性がある。
✅ 自分で買主を見つけた場合も自由に契約できる
→ 不動産会社を通さずに契約できるため、仲介手数料が不要になることも。
✅ 不動産会社同士の競争が生まれる
→ 早く売却したい不動産会社が、より積極的に動いてくれることがある。
デメリット
❌ 不動産会社が積極的に動かない可能性がある
→ 他の会社と競争になるため、「広告費をかけても他社に取られるかも」と消極的になりがち。
❌ レインズへの登録義務がないため、情報の拡散力が弱くなる
→ 登録するかどうかは不動産会社次第なので、買主に届く範囲が狭まることも。
❌ 販売状況の報告義務がないため、進捗がわかりにくい
→ どの会社がどのように動いているのか、自分で確認する必要がある。
こんな人におすすめ!
✅ できるだけ多くの不動産会社に売却活動をしてもらいたい人
✅ 自分でも積極的に売却活動をしたい人
✅ 契約や進捗管理を自分でしっかりできる人
媒介契約の比較表
これまで紹介した 「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」 の違いを、表にまとめました。どの契約が自分に合っているかを確認してみましょう!
項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
依頼できる不動産会社 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社OK |
自分で買主を見つけた場合の直接契約 | ❌不可 | ✅可能 | ✅可能 |
レインズ登録義務 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 任意(義務なし) |
販売状況の報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 義務なし |
不動産会社の売却活動の積極性 | ◎(最も積極的) | ○(比較的積極的) | △(消極的な場合も) |
売却チャンスの広さ | △(1社のみの活動) | △(1社のみの活動) | ◎(複数社が活動) |
媒介契約の選び方とポイント

媒介契約を選ぶ際は、売却のスピードや不動産会社との関係、自分がどこまで関与したいかを考えることが重要です。ここでは、契約を選ぶ際のポイントを解説します!
1. 売却を急いでいるなら「専属専任」or「専任」がおすすめ
「なるべく早く確実に売りたい!」という場合は、専属専任媒介契約または専任媒介契約 を選ぶのがベスト。不動産会社が積極的に売却活動をしてくれるため、スピーディーな売却が期待できます。
✅ おすすめの人
- 早く売却したい
- 不動産会社にしっかり売却活動をしてもらいたい
- こまめな報告を受けて進捗を把握したい
2. できるだけ多くの買主と出会いたいなら「一般媒介契約」
「とにかく幅広く買主を探したい!」という場合は、一般媒介契約 がおすすめ。複数の不動産会社に依頼できるため、より多くの買主にアプローチできます。ただし、不動産会社の熱量に差が出ることがあるので要注意。
✅ おすすめの人
- より多くの不動産会社に売却を依頼したい
- 自分でも積極的に売却活動をしたい
- 契約や進捗管理を自分でしっかりできる
3. 信頼できる不動産会社を選ぶことが最重要!
どの媒介契約を選んでも、最も大切なのは 「信頼できる不動産会社に依頼すること」 です。実績があるか、担当者の対応は丁寧か、しっかりと販売活動をしてくれそうかを見極めましょう。
✅ 不動産会社選びのポイント
- 過去の売却実績を確認する
- 担当者の対応が親身かどうかチェックする
- 査定額が相場より極端に高すぎないか見極める(高額査定で釣られると売れ残るリスクあり)
自分の状況や希望に合った契約を選び、納得のいく不動産売却を目指しましょう!
不動産売却で知っておくべき「物件隠し」とは?

不動産を売却する際、売主にとって不利な状況を生む可能性があるのが「物件隠し」です。不動産会社が意図的に情報を公開しないことで、売却機会を失うリスクがあるため、注意が必要です。
物件隠しとは?
本来、専属専任媒介契約や専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社は一定期間内にレインズ(不動産流通標準情報システム)に物件情報を登録し、広く市場に公開する義務があります。しかし、 一部の不動産会社は意図的に登録を遅らせたり、登録しないことで、他社に情報が流れないようにする ことがあります。
これは、不動産会社が 自社の買主に売却し、両手取引を成立させるため に行われることが多い行為です。他の不動産会社が情報を得られなければ、競争が生まれず、売主が適正な価格で売却できるチャンスが減ってしまいます。
売主にとっての影響
物件隠しが行われると、売主にとって以下のような影響があります。
- 売却の機会損失 物件情報が市場に十分に公開されなければ、購入希望者の数が限られ、結果的に売れるまでの時間が長引く可能性があります。
- 売却価格の低下 競争がない状態では、不動産会社が提示する価格を受け入れざるを得ない状況になりやすく、売主が本来得られるはずの高額売却が難しくなります。
- 販売活動の透明性が欠ける 売主が「売却が進んでいない理由が何なのか」を正しく把握できない状況に陥る可能性があります。不動産会社が「まだ買主が見つかっていない」と言っても、実際には情報を外部に出していないだけかもしれません。
売主としては、不動産会社に物件の販売状況を細かく確認し、レインズへの登録が適切に行われているかをチェックすることが重要 です。
「片手取引」と「両手取引」の違いとは?
不動産の売却では、不動産会社がどのように仲介手数料を得るかによって 「片手取引」 と 「両手取引」 という取引形態が存在します。これは売主にとって重要なポイントであり、売却のスピードや価格にも影響を与えるため、しっかり理解しておきましょう。
片手取引とは?
片手取引(シングルエージェント取引)とは、売主と買主の間にそれぞれ別の不動産会社が入る取引のこと です。売主の不動産会社は売主からのみ仲介手数料を受け取り、買主の不動産会社は買主からのみ仲介手数料を受け取ります。
売主にとっての影響
- より多くの買主にアプローチできる 複数の不動産会社が買主を探すため、売却の機会が広がります。
- 価格競争が生まれやすい 多くの買主が集まれば、より高い価格での売却が可能になる可能性があります。
- 売却の透明性が高まる 片手取引では、買主側の不動産会社が独立して動くため、不動産会社が恣意的に価格を操作するリスクが低くなります。
一般媒介契約を選ぶと、片手取引が主流になることが多いため、幅広く売却チャンスを確保したい場合には適しています。
両手取引とは?
両手取引(ダブルエージェント取引)とは、売主と買主の両方を1社の不動産会社が担当する取引のこと です。この場合、不動産会社は売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることができます。
売主にとっての影響
- 不動産会社が積極的に売却活動をする可能性がある 両手取引を狙う不動産会社は、広告費をかけたり、自社のネットワークを活用して売却を進めることが多いです。
- 物件隠しのリスクがある 不動産会社が他社に情報を流さず、意図的に自社の買主に売ろうとすることがあります。この場合、競争が生まれず、売却価格が適正にならない可能性があります。
- 売却価格が低めに設定される可能性がある 不動産会社が自社の買主に売却する際、「この価格で決まりそうです」と売主に低めの価格を提示し、早期成約を促すことがあります。売主が十分な比較検討をせずに価格を決めてしまうと、本来得られるべき利益を逃してしまう可能性があります。
専属専任媒介契約や専任媒介契約を選ぶと、両手取引が発生しやすくなります。売主としては、不動産会社が公正な売却活動をしているかどうかを確認することが大切です。
売主が意識すべきポイント
1. 物件隠しを防ぐ
不動産会社に媒介契約を依頼したら、レインズへの登録を確認し、登録証明書をもらうようにする ことが重要です。また、定期的に販売状況の報告を受け、他の不動産会社からも問い合わせが入っているか確認しましょう。
2. 片手取引・両手取引の違いを理解する
片手取引では、広く買主を募ることができる ため、競争が生まれやすく、高額売却のチャンスが増えます。一方、両手取引では不動産会社の利益が優先され、売主の利益と相反することがあるため注意が必要です。
3. 信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産売却を成功させるためには、誠実で透明性のある不動産会社を選ぶことが何よりも大切 です。査定額の根拠を明確に説明してくれるか、販売活動の方針をしっかり提示してくれるかを確認し、信頼できる会社と契約しましょう。
売主にとって、物件隠しや両手取引のリスクを理解し、適切な契約や不動産会社選びをすることが、高額売却を実現する鍵 となります。
不動産会社の提案を鵜呑みにせず、自分自身でも情報を集め、慎重に判断することが重要です。
まとめ
不動産を高額で売却するためには、適切な戦略と準備が欠かせません。特に 市場の相場を把握し、信頼できる不動産会社を選ぶこと が重要です。売却を依頼する際には 「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」 の3種類の媒介契約の特徴を理解し、自分の状況に合った契約を選ぶ必要があります。
- 「専属専任媒介契約」 は 不動産会社に売却活動を積極的に進めてもらいたい人 向け。
- 「専任媒介契約」 は 不動産会社に任せつつ、自分で買主を見つける可能性も考えたい人 向け。
- 「一般媒介契約」 は 複数の不動産会社に依頼し、売却のチャンスを最大化したい人 向け。
また、売却を成功させるためには 「物件隠し」 や 「両手取引」 に注意し、不動産会社の販売活動が透明性のあるものかを確認することが大切です。 レインズへの登録状況をチェックし、販売進捗をこまめに確認することで、不利益を避けることができます。
最も重要なのは、信頼できる不動産会社を選ぶこと。 実績や対応をしっかり見極め、納得のいく不動産売却を目指しましょう!