家の売却にかかる費用はいくら?手取り額の計算方法と費用一覧

住宅とライフプラン
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「家が3,000万円で売れたら、実際はいくら手元に残るんだろう」

「仲介手数料以外にも、どんな費用がかかるの?」

家の売却価格が、そのまま手元に残るわけではありません。

不動産会社へ支払う仲介手数料、印紙税、住宅ローンの返済、抵当権抹消にかかる費用などを考える必要があります。

さらに、売却によって税務上の譲渡所得が生じた場合は、所得税や住民税がかかることもあります。

家を売ったあとに最終的に残る金額は、次のように考えると分かりやすくなります。

最終的な手取り額=売却価格-仲介手数料などの諸費用-住宅ローンの返済額-譲渡所得にかかる税金

たとえば、家を3,000万円で売却した場合、売却価格が400万円を超える通常の仲介であれば、仲介手数料の上限は105万6,000円(税込)です。

紙の売買契約書を作成する場合は、2027年3月31日までの軽減措置では原則として1万円の印紙税もかかります。

さらに住宅ローンが残っていれば、通常は決済・引き渡し時に完済し、抵当権を抹消するための手続きも必要です。

この記事では、家を売るときに確認しておきたい主な費用・支出を一覧にして、手取り額の考え方や売却価格別の計算例を解説します。

注意点

この記事の計算方法・金額はあくまで概算です。
実際にかかる費用や税金、最終的な手取り額は、物件の状況、住宅ローン残高、契約内容、所有期間、利用できる税制上の特例などによって異なります。この記事を目安として利用し、実際に売却を進める際は、不動産会社や金融機関へ必要な費用を確認し、税金や登記については税務署・税理士・司法書士などにご自身の状況に合わせて確認してください。

この記事でわかること
  • 家の売却に関連して発生する主な費用・支出
  • 仲介手数料の計算方法
  • 売却価格別の費用の目安
  • 住宅ローンが残っている場合の手取り額
  • 売却による譲渡所得に税金がかかる条件
  • 費用を支払う主なタイミング
  • 売却費用を抑えるときの注意点

僕はこれまで、自宅として住んでいた築30年以上の中古マンションを2回売却しました。

1軒目は購入価格より約300万円高く、2軒目は約200万円高く売却できました。

ただし、購入価格と売却価格の差額が、そのまま利益として手元に残ったわけではありません。

仲介手数料などの売却時の費用に加え、購入時の諸費用や保有中のリフォーム費など、家計全体ではさまざまな支出があります。

また、税金を計算するときの「取得費」や「譲渡費用」は、家計上の支出とは範囲が異なります。

家を売るときは「いくらで売れたか」だけではなく、「最終的にいくら手元に残るのか」まで確認することが大切です。

  1. 家を売った後の手取り額は4つの数字で決まる
  2. 家を売るときに確認したい費用・支出一覧
  3. 仲介手数料は家の売却費用で最も大きくなりやすい
    1. 売却価格別の仲介手数料早見表
    2. 800万円以下の物件には仲介手数料の特例がある
  4. 売買契約書には印紙税がかかる
  5. 住宅ローンが残っている場合にかかる費用
    1. 抵当権抹消の登録免許税
    2. 司法書士へ支払う報酬
    3. 住宅ローンの一括返済手数料
  6. 登記簿の住所や氏名が違う場合は変更登記も確認する
    1. 2026年4月から「スマート変更登記」も始まっている
  7. 戸建てや土地の売却では測量費がかかることがある
  8. 解体・片付け・引っ越し費用は家によって大きく変わる
  9. 売却によって利益が出たら税金がかかる場合がある
    1. 所有期間によって税率が変わる
    2. 所有期間10年超のマイホームには軽減税率の特例もある
    3. マイホームには最高3,000万円の特別控除がある
    4. 購入時の資料がないと税金が増える可能性がある
  10. 売却価格別に仲介手数料と印紙税を計算
  11. 3,000万円で売却して住宅ローンが1,800万円残っている場合
  12. 家の売却費用を支払うタイミング
  13. 家の売却費用を抑える5つの方法
    1. 1.仲介手数料の金額とサービス内容を確認する
    2. 2.測量や解体を自分の判断で先に進めない
    3. 3.片付け・引っ越し・解体は複数社から見積もりを取る
    4. 4.電子契約に対応しているか確認する
    5. 5.購入時と売却時の資料を保管する
  14. 家の売却費用で間違えやすい5つのポイント
    1. 1.住宅ローン残高を税金の経費に入れてしまう
    2. 2.購入価格と売却価格の差をそのまま利益と考える
    3. 3.税金はすべて引き渡し時に精算されると思う
    4. 4.家をきれいにする費用はすべて税金の経費になると思う
    5. 5.査定額をそのまま売却価格として計算する
  15. 家の売却費用に関するよくある質問
  16. まとめ|売却価格ではなく最終的な手取り額で考える

家を売った後の手取り額は4つの数字で決まる

家を売ったあとに最終的に残る金額を把握するには、まず次の4つを確認します。

  1. 家の売却価格
  2. 仲介手数料など売却に伴う諸費用
  3. 住宅ローンの返済に必要な金額
  4. 譲渡所得にかかる税金

計算式にすると、次のようになります。

売却価格-仲介手数料などの諸費用-住宅ローン返済額-税金=最終的な手取り額

家の売却価格から諸費用、住宅ローン返済額、税金を差し引いて最終的な手取り額を求める計算式

ここで注意したいのが、住宅ローンの返済額は「売却費用」や税務上の「譲渡費用」ではないという点です。

住宅ローンの元本返済額は、譲渡所得を計算するときに取得費や譲渡費用として差し引くことはできません。

一方で、売却代金から住宅ローンを返済する場合は、手元に残る金額に大きく影響します。

また、譲渡所得に対する所得税や住民税は、一般的に家を引き渡した日にすべて差し引かれるわけではありません。

売却した翌年に確定申告や納税が必要になる場合があるため、税金が発生しそうなときは納税分も含めて資金計画を立てておきましょう。

手取り額を考えるには、まず自宅がいくらで売れそうかを把握する必要があります。

不動産会社によって査定額の根拠や得意な物件が異なるため、1社だけで判断せず、複数社の査定内容を比較すると現実的な売却価格を考えやすくなります。

僕が利用したイエウールを含む各サービスの違いは、不動産一括査定サイト5社を比較|おすすめはどこ?物件・目的別の選び方で整理しています。

家を売るときに確認したい費用・支出一覧

家を売るときに発生する費用は、すべての人に同じではありません。

仲介手数料や印紙税のように多くの売却で発生するものもあれば、住宅ローンや土地・建物の状況によって必要になるものもあります。

費用・支出金額・計算方法の目安発生する主な条件
仲介手数料売却価格が400万円超の場合、上限は「売却価格×3%+6万円」に消費税不動産会社の仲介で売買契約が成立した場合
印紙税一般的な住宅価格では1,000円〜数万円程度課税対象となる紙の売買契約書を作成する場合
抵当権抹消の登録免許税不動産1個につき1,000円抵当権を抹消する場合
司法書士報酬依頼先や手続内容による抵当権抹消などを司法書士へ依頼する場合
住宅ローン一括返済手数料金融機関・商品・手続方法による住宅ローンを全額繰上返済する場合
住所・氏名変更登記費用自分で申請する場合、登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円。司法書士報酬は別登記簿上の住所・氏名と現在の住所・氏名が異なる場合など
測量費土地や境界の状況、作業内容による境界や面積を確認・確定する必要がある場合
解体費建物の構造・広さ・立地などによる建物を解体して土地として売る場合
片付け・残置物処分費荷物の量や処分内容による家具や家財などを処分する場合
引っ越し費用人数・距離・時期・荷物量による売却に伴って転居する場合
譲渡所得にかかる税金譲渡所得、所有期間、特例の適用状況による税務上の課税譲渡所得が生じた場合

このほか、土地の分筆登記、相続登記、建物の未登記部分への対応などが必要になることもあります。

ここで注意したいのは、「手取り額を考えるときに差し引く支出」と「税務上、譲渡所得から差し引ける譲渡費用」は同じではないことです。

たとえば、住宅ローンの返済額や引っ越し費用は手元に残る金額には影響しますが、原則として税務上の譲渡費用にはなりません。

自分の家で実際に発生する項目を一つずつ確認することが、手取り額を正確に把握するポイントです。

家の売却で確認する仲介手数料、登記費用、測量費、解体費、引っ越し費用、税金などの一覧

仲介手数料は家の売却費用で最も大きくなりやすい

不動産会社の仲介で家を売却した場合、売買契約が成立すると仲介手数料が発生します。

仲介手数料には法律に基づく上限があり、売却価格が400万円を超える場合は、次の速算式で計算できます。

仲介手数料の上限=(売却価格×3%+6万円)×1.1

最後に掛ける1.1は消費税分です。

国土交通省は、売却価格1,000万円の場合の仲介手数料の上限を39万6,000円(税込)と案内しています。

仲介手数料は法律で決められた一律料金ではありません。

法律で定められているのは、不動産会社が受け取ることができる上限額です。

参考:不動産取引の仲介手数料について|国土交通省

売却価格別の仲介手数料早見表

売却価格仲介手数料の上限(税込)
1,000万円39万6,000円
2,000万円72万6,000円
3,000万円105万6,000円
4,000万円138万6,000円
5,000万円171万6,000円

実際の仲介手数料や支払時期は、不動産会社との契約内容で確認します。

売買契約時と引き渡し時に分けて支払う会社もあれば、決済・引き渡し時にまとめて支払う会社もあります。

800万円以下の物件には仲介手数料の特例がある

売却価格が800万円以下の「低廉な空家等」については、通常の計算額を超えて、売主から受け取れる仲介手数料を税込33万円までとする特例があります。

国土交通省の案内では、2024年7月1日以降、物件価格が800万円以下であれば建物の使用状態を問わず対象になり得ます。

ただし、特例があるからといって、不動産会社が自動的に33万円を請求できるわけではありません。

特例による報酬額を適用する場合は、媒介契約を結ぶときに、上限の範囲内で売主と不動産会社が事前に合意する必要があります。

低価格の住宅や土地を売る場合は、媒介契約書に記載されている仲介手数料を確認してください。

売買契約書には印紙税がかかる

紙の不動産売買契約書は、印紙税の課税対象です。

2026年8月時点では、不動産の譲渡に関する契約書に対する軽減措置が2027年3月31日まで適用されています。

主な契約金額に対する軽減後の印紙税は、次のとおりです。

売買契約書に記載された金額軽減後の印紙税
100万円超〜500万円以下1,000円
500万円超〜1,000万円以下5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下1万円
5,000万円超〜1億円以下3万円
1億円超〜5億円以下6万円

たとえば、家を3,000万円で売却し、紙の売買契約書を作成する場合の印紙税は1万円です。

参考:不動産の譲渡に関する契約書の印紙税軽減措置|国税庁

一方、電磁的記録だけで締結する電子契約は、印紙税の課税対象となる「文書」には含まれません。

そのため、売主・買主・不動産会社が電子契約に対応し、紙の課税文書を作成しなければ、印紙税がかからない場合があります。

参考:電磁的記録に関する印紙税の取扱い|国税庁

住宅ローンが残っている場合にかかる費用

住宅ローンが残っている家でも売却できます。

ただし、通常の売却では決済・引き渡し時に住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消するための手続きを進めます。

抵当権抹消の登録免許税

抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。

土地1筆と建物1棟であれば、一般的には合計2,000円です。

土地が複数の筆に分かれている場合などは、不動産の個数に応じて金額が増えることがあります。

参考:抵当権抹消登記の登録免許税|法務局

司法書士へ支払う報酬

売却時の抵当権抹消登記は、司法書士へ依頼して手続きを進めるケースが一般的です。

司法書士報酬には一律の料金表はなく、手続内容や依頼先によって異なります。

抵当権抹消以外に住所・氏名変更登記などが必要になる場合は、その分の報酬が必要になることもあります。

日本司法書士会連合会も、具体的な報酬額や算定方法は依頼する司法書士へ確認するよう案内しています。

参考:司法書士の報酬|日本司法書士会連合会

住宅ローンの一括返済手数料

金融機関や住宅ローン商品によっては、全額繰上返済をするときに手数料がかかります。

窓口、電話、インターネットなど、手続方法によって手数料が異なる場合もあります。

売却を具体的に進める段階になったら、金融機関へ次の点を確認しておきましょう。

  • 決済予定日時点の住宅ローン残高
  • 決済日までに必要となる利息
  • 全額繰上返済手数料
  • 抵当権抹消書類の受取方法
  • 一括返済を申し込む期限

住宅ローンの元本返済額は売却費用ではありませんが、売却代金から返済する場合は、手取り額を計算するときに差し引く必要があります。

住宅ローンが残っている家を売却する条件については、住宅ローンが残っている家は売れる?残債がある家を売る方法と注意点で詳しく解説しています。

登記簿の住所や氏名が違う場合は変更登記も確認する

引っ越しや結婚などによって、現在の住所・氏名と登記簿に記載された住所・氏名が異なる場合は、住所等変更登記が必要になることがあります。

2026年4月1日から、不動産所有者の住所・氏名変更登記が義務化されました。

2026年4月1日以降に住所や氏名が変わった場合は、原則として変更した日から2年以内に変更登記を申請する必要があります。

また、2026年4月1日より前に住所や氏名が変わっていて、まだ変更登記をしていない場合も義務化の対象です。

この場合は、原則として2030年3月31日までに変更登記をする必要があります。

参考:住所等変更登記の義務化|法務省

自分で住所・氏名変更登記を申請する場合、登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円です。

司法書士へ依頼する場合は、別途報酬がかかります。

2026年4月から「スマート変更登記」も始まっている

2026年4月からは、「スマート変更登記」と呼ばれる仕組みも始まっています。

個人の場合、あらかじめ法務局へ「検索用情報の申出」をしておけば、法務局が住民基本台帳ネットワークを利用して住所などの変更を確認し、本人の了解を得たうえで職権による住所等変更登記を行う仕組みです。

法務局が職権で行う住所等変更登記については、登録免許税などの費用はかかりません。

参考:スマート変更登記について|法務省

ただし、売却や抵当権抹消などをすぐに行う必要があり、登記簿上の住所・氏名がまだ更新されていない場合には、自分で住所等変更登記を申請する必要が生じることがあります。

売却時になって慌てないよう、登記事項証明書に記載されている住所・氏名を早めに確認しておきましょう。

戸建てや土地の売却では測量費がかかることがある

土地の境界や面積が明確でない場合は、売却前に測量が必要になることがあります。

測量にかかる費用は、次のような条件によって変わります。

  • 土地の広さや形状
  • 隣接する土地の数
  • 境界標の有無
  • 隣地所有者との立ち会い状況
  • 道路や水路などの官有地に接しているか
  • 分筆登記が必要か

すべての戸建てや土地売却で、新たな確定測量が必要になるわけではありません。

既存の測量図や境界標がそろっている場合や、売買契約の条件によっては、新たな測量を行わずに売却できることもあります。

そのため、自分の判断で先に測量を依頼するのではなく、不動産会社や土地家屋調査士へ必要性を確認してから進めると、不要な支出を避けやすくなります。

なお、国税庁は、土地や建物を売るために直接必要となった測量費を、譲渡所得の計算で差し引ける譲渡費用の例として挙げています。

参考:譲渡所得の計算方法|国税庁

解体・片付け・引っ越し費用は家によって大きく変わる

建物を解体して土地として売る場合は、解体費がかかります。

解体費は、建物の延べ床面積だけで決まるわけではありません。

たとえば、次のような条件によって見積金額が変わります。

  • 木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違い
  • 重機やトラックが敷地へ入れるか
  • アスベスト調査や除去の必要性
  • ブロック塀や庭木の撤去
  • 家具や家電などの残置物の量
  • 地域ごとの処分費

解体する場合は、できるだけ同じ条件で複数の業者から見積もりを取ると比較しやすくなります。

ただし、更地にすれば必ず高く売れるとは限りません。

中古戸建てとして売れる可能性や、更地にしたあとの固定資産税・都市計画税への影響も考え、不動産会社へ相談してから判断しましょう。

片付け費用も、売主が自分で処分するのか、専門業者へ依頼するのかによって変わります。

引っ越し費用は、家族の人数、移動距離、荷物量、時期などによって変動します。

特に3〜4月は引っ越し需要が集中しやすいため、売却や引き渡しの予定が決まったら、早めに見積もりを取っておくと予定を立てやすくなります。

なお、建物の解体費が税務上の譲渡費用になるのは、土地を売るために建物を取り壊した場合など、売却のために直接必要だったと認められるケースです。

一方、引っ越し費用や通常の修繕費は、家計上の支出にはなりますが、原則として譲渡所得から差し引く「譲渡費用」にはなりません。

売却によって利益が出たら税金がかかる場合がある

家の売却によって税務上の譲渡所得が生じると、所得税や住民税がかかる場合があります。

税金は、売却価格そのものに税率を掛けて計算するわけではありません。

基本的には、次のように計算します。

課税譲渡所得=譲渡価額(売却代金など)-取得費-譲渡費用-特別控除

国税庁では、土地や建物の譲渡による収入金額について、通常は買主から受け取る譲渡の対価としています。

なお、固定資産税や都市計画税の日割り精算金など、売却代金以外の金額が税務上の収入金額に含まれる場合もあります。

取得費には、家を購入したときの代金や購入手数料などが含まれます。

ただし、建物の取得費は、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

譲渡費用には、売却のために直接支払った仲介手数料、印紙税、測量費、一定の解体費などが含まれます。

国税庁は、通常の修繕費や固定資産税など、家の維持・管理にかかった費用は譲渡費用にはならないと案内しています。

参考:譲渡費用となるもの|国税庁

所有期間によって税率が変わる

土地や建物を売却した場合、売却した年の1月1日時点での所有期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。

区分売却した年の1月1日時点の所有期間所得税等・住民税の合計
長期譲渡所得5年超20.315%
短期譲渡所得5年以下39.63%

参考:土地や建物を売ったとき|国税庁

注意したいのは、「購入日から売却日までが5年を超えているか」だけで判断するわけではないことです。

売却した年の1月1日時点で所有期間を判定します。

なお、2026年分までは所得税とあわせて復興特別所得税を申告・納付します。

2027年分以後は、防衛特別所得税と復興特別所得税を所得税とあわせて申告・納付する仕組みに変わります。

ただし、防衛特別所得税1%と復興特別所得税1.1%を合わせた率は2.1%で、改正前の復興特別所得税2.1%と同じです。

そのため、上表の長期譲渡所得20.315%、短期譲渡所得39.63%という合計税率は変わりません。

所有期間10年超のマイホームには軽減税率の特例もある

一定の要件を満たすマイホームで、売却した年の1月1日時点で、売った家屋やその敷地の所有期間がともに10年を超えている場合は、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を利用できることがあります。

この特例を利用すると、課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分について、通常の長期譲渡所得より低い税率が適用されます。

課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分の所得税率は10%、住民税率は4%です。

2026年分までは、この所得税に復興特別所得税が加算されます。

2027年分以後は、防衛特別所得税と復興特別所得税が加算されますが、両者を合わせた率は所得税額の2.1%で、2026年分までと変わりません。

また、一定の要件を満たせば、後述する3,000万円の特別控除と併用できます。

参考:マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

マイホームには最高3,000万円の特別控除がある

一定の要件を満たすマイホームを売却した場合は、所有期間にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

特例を適用した結果、課税譲渡所得が0円になれば、譲渡所得に対する所得税や住民税はかかりません。

ただし、3,000万円の特別控除を利用するには、税額が0円になる場合でも原則として確定申告が必要です。

参考:マイホームを売ったときの3,000万円特別控除|国税庁

購入時の資料がないと税金が増える可能性がある

家の購入価格などを確認できない場合は、譲渡価額の5%相当額を概算取得費として計算することができます。

たとえば、3,000万円で売却した家について、譲渡価額を3,000万円として取得費が分からない場合、概算取得費は150万円です。

実際にはもっと高い金額で購入していても、取得費を証明できず概算取得費を使うと、譲渡所得が大きく計算される可能性があります。

参考:取得費が分からないとき|国税庁

家を売ろうと思ったら、次のような資料が残っていないか早めに確認しておきましょう。

  • 購入時の売買契約書
  • 建築工事の請負契約書
  • 購入時の仲介手数料の領収書
  • 登記費用などの領収書
  • 設備費や改良費を確認できる書類

個別の税額や特例の適用可否は、税務署や税理士へ確認してください。

売却価格別に仲介手数料と印紙税を計算

次の表は、仲介手数料を上限額で計算し、紙の売買契約書を作成した場合の例です。

住宅ローンの返済、抵当権抹消、司法書士報酬、測量、引っ越し、譲渡所得にかかる税金などは含めていません。

売却価格仲介手数料上限印紙税2つを差し引いた残額
1,000万円39万6,000円5,000円959万9,000円
2,000万円72万6,000円1万円1,926万4,000円
3,000万円105万6,000円1万円2,893万4,000円
4,000万円138万6,000円1万円3,860万4,000円
5,000万円171万6,000円1万円4,827万4,000円

今回の1,000万円〜5,000万円の例では、仲介手数料の上限と印紙税だけで、売却価格の約3.5〜4%になります。

ただし、実際の売却では、抵当権抹消、司法書士報酬、測量、解体、片付け、引っ越しなどの費用が加わる場合があります。

さらに税務上の譲渡所得が生じれば、税金も考える必要があります。

「売却価格の何%」という割合だけで判断するのではなく、自分の家で発生する費用や支出を一つずつ積み上げて計算するほうが確実です。

3,000万円で売却して住宅ローンが1,800万円残っている場合

次の条件で、この時点で手元に残る金額を計算してみます。

  • 売却価格:3,000万円
  • 住宅ローン残高:1,800万円
  • 仲介手数料:上限額
  • 紙の売買契約書を作成
  • 土地1筆・建物1棟の抵当権を抹消

計算は次のとおりです。

内容金額
売却価格3,000万円
仲介手数料−105万6,000円
印紙税−1万円
抵当権抹消の登録免許税−2,000円
住宅ローン残高−1,800万円
この時点で残る金額1,093万2,000円
3,000万円で家を売却し住宅ローン1,800万円などを差し引くと1,093万2,000円が残る計算例

ただし、この1,093万2,000円が、そのまま最終的な手取り額になるとは限りません。

今回の計算では住宅ローン残高を1,800万円としているため、実際の完済時には決済日までの利息や、金融機関によっては全額繰上返済手数料などが別に必要になる場合があります。

さらに、状況に応じて次のような支出も発生します。

  • 司法書士報酬
  • 住宅ローンの全額繰上返済手数料
  • 決済日までに必要となる利息
  • 必要に応じた住所・氏名変更登記費用
  • 引っ越し費用
  • 片付け費用
  • 譲渡所得にかかる税金

このように計算すると、「3,000万円で売れた」という売却価格と、最終的に自由に使える金額には大きな差が生じる場合があることが分かります。

家の売却費用を支払うタイミング

家の売却に関連する費用は、一度にまとめて支払うとは限りません。

タイミング主に発生する費用・支出
売却活動を始める前後必要に応じた測量費、片付け費、修繕費など
売買契約時印紙税、仲介手数料の一部など
売買契約後〜決済・引き渡し前後引っ越し費用、片付け費用など
決済・引き渡し時仲介手数料の残額、住宅ローン返済額、一括返済手数料、登記費用、司法書士報酬など
売却後確定申告を税理士へ依頼する場合の費用など
売却した翌年譲渡所得に対する所得税・住民税など
家の売却費用を支払う時期を売却活動前から翌年の確定申告と納税まで示したタイムライン

実際の支払時期は、売買契約の内容、不動産会社、金融機関、住み替え方法などによって異なります。

特に注意したいのは、売却代金を全額受け取る前に現金で支払う費用が発生する可能性があることです。

媒介契約を結ぶ前や売却活動を始める段階で、不動産会社へ次の点を確認しておきましょう。

  • 仲介手数料の総額
  • 仲介手数料の支払時期
  • 売却前に現金で支払う費用
  • 決済時に売却代金から精算できる費用
  • 不動産会社以外へ直接支払う費用

家の売却費用を抑える5つの方法

1.仲介手数料の金額とサービス内容を確認する

仲介手数料は法律で定められた一律料金ではなく、定められているのは上限額です。

ただし、手数料の安さだけで不動産会社を選ぶのはおすすめしません。

広告や販売活動、査定の精度、担当者の対応などが希望に合わなければ、結果として売却に時間がかかったり、希望より低い価格での売却につながったりする可能性があります。

仲介手数料だけでなく、査定根拠、売却実績、販売計画、担当者の対応も比較してください。

2.測量や解体を自分の判断で先に進めない

測量や解体にはまとまった費用がかかることがあります。

しかし、既存の資料で売却できる場合や、建物を残したまま売ったほうが買主を見つけやすい場合もあります。

まず不動産会社へ売却方法を相談し、本当に必要なのかを確認してから依頼しましょう。

3.片付け・引っ越し・解体は複数社から見積もりを取る

片付け、引っ越し、解体などの費用は、依頼する会社によって金額や作業範囲が異なります。

見積もりを比較するときは、金額だけではなく、次の点も確認してください。

  • 作業範囲
  • 追加料金が発生する条件
  • 処分費
  • 養生費
  • オプション料金

同じ条件で複数社から見積もりを取ると比較しやすくなります。

4.電子契約に対応しているか確認する

電磁的記録だけで締結する電子契約であれば、紙の売買契約書にかかる印紙税を負担しなくて済む場合があります。

ただし、売主だけでは電子契約にするか決められません。

買主や不動産会社が電子契約に対応しているかを確認してください。

5.購入時と売却時の資料を保管する

家を売却したあとに譲渡所得を計算するときは、購入時や売却時の資料が重要です。

売却のために直接支払った仲介手数料、印紙税、一定の測量費などは、譲渡所得の計算で譲渡費用として差し引ける場合があります。

また、購入時の資料は取得費を確認するために必要です。

次のような資料は捨てずに保管しておきましょう。

  • 売買契約書
  • 請負契約書
  • 仲介手数料の領収書
  • 登記費用の領収書
  • 測量費などの請求書・領収書
  • 振込記録
  • リフォームや設備改良に関する資料

家の売却費用で間違えやすい5つのポイント

1.住宅ローン残高を税金の経費に入れてしまう

住宅ローンの返済額は手取り額には影響しますが、住宅ローンの元本返済額を譲渡所得の計算で取得費や譲渡費用として差し引くことはできません。

「手元に残る金額」と「税金を計算するときの費用」は分けて考えましょう。

2.購入価格と売却価格の差をそのまま利益と考える

税務上の譲渡所得は、単純な「売却価格-購入価格」ではありません。

特に建物の取得費は、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

購入時の諸費用や売却時の譲渡費用なども確認する必要があります。

3.税金はすべて引き渡し時に精算されると思う

譲渡所得に対する所得税や住民税は、一般的に引き渡し時にすべて精算されるわけではありません。

売却した翌年に確定申告や納税が必要になる場合があります。

売却代金を新居の購入などにすべて使ってしまわず、税金が発生する場合は納税分も考えて資金を残しておきましょう。

4.家をきれいにする費用はすべて税金の経費になると思う

通常の修繕費、固定資産税、引っ越し費用などは、家計上の支出であっても、原則として税務上の譲渡費用にはなりません。

一方、売却のために直接必要となった仲介手数料、印紙税、一定の測量費などは譲渡費用になる場合があります。

「手取り額から差し引く支出」と「税金計算で差し引ける譲渡費用」は分けて考える必要があります。

手取り額に影響する支出のうち税務上の譲渡費用になり得るものと原則としてならないものの違い

5.査定額をそのまま売却価格として計算する

査定額は、不動産会社が算出した売却価格の目安です。

実際の成約価格を保証するものではありません。

手取り額の資金計画を立てるときは、1社の査定額だけを前提にせず、複数社の査定根拠や周辺の成約事例も確認しておくと、より現実的に考えられます。

家の売却費用に関するよくある質問

Q
家を3,000万円で売った場合、費用はいくらですか?
A

仲介手数料を上限額で計算すると105万6,000円です。

紙の売買契約書を作成する場合は、2027年3月31日までの軽減措置では1万円の印紙税がかかります。

この2つだけなら合計106万6,000円です。

実際には、住宅ローンの返済、抵当権抹消、司法書士報酬、引っ越し、測量、片付け、譲渡所得にかかる税金などが必要になる場合があります。

そのため、3,000万円で売れたからといって、2,893万4,000円が最終的な手取りになるわけではありません。

Q
仲介手数料は必ず上限額を支払うのですか?
A

必ず上限額になるわけではありません。

法律に基づいて決められているのは、不動産会社が依頼者から受け取ることができる上限です。

実際の仲介手数料は、上限の範囲内で不動産会社との契約によって決まります。

Q
家が売れなかった場合も仲介手数料はかかりますか?
A

通常の仲介手数料は、売買契約が成立した場合に発生する成功報酬です。

そのため、通常は売買契約が成立しなければ仲介手数料は発生しません。

ただし、売主が特別に依頼した広告などについて、あらかじめ売主の承諾を得たうえで実費を請求される場合があります。

媒介契約を結ぶ前に、仲介手数料以外に発生する可能性がある費用も確認しておきましょう。

Q
売却価格が購入価格より安ければ税金はかかりませんか?
A

必ずしも、購入価格と売却価格だけでは判断できません。

建物の取得費は減価償却費相当額を差し引いて計算するため、購入価格より安く売却しても、税務上の譲渡所得が生じる場合があります。

反対に、購入価格より高く売れていても、取得費や譲渡費用、3,000万円の特別控除などを考慮した結果、課税譲渡所得が0円になることもあります。

税金は単純な「売却価格-購入価格」で判断しないことが大切です。

Q
売却で利益が出なければ確定申告は不要ですか?
A

税務上の譲渡所得がなく、利用する特例もない場合は、不動産売却を理由とする確定申告が不要となるケースが一般的です。

ただし、3,000万円の特別控除や譲渡損失に関する特例などを利用する場合は、結果として税額が0円でも確定申告が必要になります。

確定申告の要否や特例の適用条件に迷う場合は、税務署や税理士へ確認してください。

まとめ|売却価格ではなく最終的な手取り額で考える

家を売ったあとに最終的に残る金額は、次の式で考えると分かりやすくなります。

最終的な手取り額=売却価格-仲介手数料などの諸費用-住宅ローンの返済額-譲渡所得にかかる税金

最初に確認したいのは、次の3つです。

  1. 住宅ローンの返済に必要な金額
  2. 家の現実的な売却価格
  3. 自分の家で発生する費用・支出

特に売却価格の目安が分からなければ、手取り額を現実的に計算することはできません。

ただし、不動産会社の査定額は、実際の成約価格を保証するものではありません。

1社の査定額だけを前提に資金計画を立てるより、複数社の査定根拠や売却実績、販売計画を比較したほうが、自宅の売却価格を考えやすくなります。

僕自身も家を売却した経験から、「いくらで売れそうか」だけではなく、「売ったあとにいくら残るのか」を確認しておくことが大切だと感じています。

これから査定を依頼する場合は、不動産一括査定サイト5社の違いと目的別の選び方も参考に、自分の物件や地域に合った相談先を探してみてください。

複数社の査定根拠や売却実績を比べると、売却価格だけでなく、その後の手取り額についてもより現実的な資金計画を立てやすくなります。

※本記事は2026年8月時点の制度・税率をもとに作成しています。税務・登記の取扱いは個別の事情によって異なります。具体的な税額や特例の適用可否、登記手続については、税務署、税理士、司法書士などの専門家へご確認ください。

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