築30年マンションは売れない?2軒を購入価格より高く売却した体験談

住宅とライフプラン
この記事は約17分で読めます。

「築30年を超えたマンションは、もう売れないのでは?」

「古いので、大きく値下げしないと買い手が見つからない?」

「リフォームしてから売ったほうがよい?」

築年数が30年に近づくと、こうした不安が出てきますよね。

結論からいうと、築30年を超えたマンションでも売却できます。ただし、築浅物件と同じ見せ方をするのではなく、立地、管理状態、日当たり、眺望、周辺環境など、そのマンションに残っている価値を整理して伝える必要があります。

僕はこれまで、横浜市にある築35年の3DKと、築32年の3LDKを売却しました。売買価格だけを比べると、1軒目は購入価格より300万円高く、2軒目は200万円高く売れています。

ただし、「購入価格より高く売れた金額」と「諸費用まで差し引いた利益」は同じではありません。この記事では、2回の売却で行った工夫に加え、購入時・保有中・売却時の費用まで含めて損益を考える方法も整理します。

この記事でわかること
  • 築30年マンションでも売却できる理由
  • 築35年・3DKを購入価格より300万円高く売却した体験
  • 築32年・3LDKを購入価格より200万円高く売却した体験
  • 内覧時の日当たりや周辺環境を活かした見せ方
  • 築古マンションで買主へ伝えたい「変えられない価値」
  • 購入価格との差額と、本当の利益の違い
  • 築30年マンションを売る前に確認したい手順と注意点

体験談について

この記事で紹介する300万円・200万円という金額は、購入時と売却時の売買価格を単純に比較した差額です。仲介手数料などを差し引いた利益や、税務上の譲渡所得を示すものではありません。また、購入時期、市況、物件条件によって結果は変わります。同じ方法で同じ金額になることを保証するものではありません。

  1. 築30年マンションは売れるが、築年数以外の価値を伝える必要がある
  2. 築30年マンションが売りにくいといわれる5つの理由
    1. 1.室内設備や配管の老朽化が心配される
    2. 2.管理状態や修繕積立金を確認される
    3. 3.耐震性や住宅ローンを心配される
    4. 4.築浅物件と同じ価格では比較されにくい
    5. 5.古さ以外の魅力が広告で伝わっていない
  3. 【体験談1】築35年・3DKを購入価格より300万円高く売却
    1. 日当たりのよい時間に内覧を設定した
    2. 買主像に合わせて周辺の便利さを整理した
    3. 値引き希望の個人と、満額の不動産会社から話があった
  4. 【体験談2】築32年・3LDKを購入価格より200万円高く売却
    1. 子育て世帯に買ってもらう前提で魅力を整理した
    2. 南向き、公園、緑という変えられない価値を伝えた
  5. 2軒の売却で共通して行った4つのこと
    1. 1.物件がよく見える時間に内覧してもらう
    2. 2.「誰にでもおすすめ」ではなく買主像を考える
    3. 3.売主しか知らない周辺情報を伝える
    4. 4.内装より、後から変えられない価値を優先した
  6. 購入価格より高く売れても「その差額=利益」ではない
    1. まず3種類の金額を分けて考える
    2. 保有期間中の費用まで含めると、さらに見方が変わる
    3. 税務上の譲渡所得は、家計上の利益とも計算方法が違う
    4. 本当の利益を確認するために集めたい資料
  7. 築30年マンションを売りやすくする6つのポイント
    1. 1.同じマンションと近隣の成約価格を調べる
    2. 2.管理・修繕に関する資料を準備する
    3. 3.高額なリフォームは査定後に判断する
    4. 4.買主像に合わせて変えられない価値を伝える
    5. 5.内覧前は片付け・清掃・換気を優先する
    6. 6.築古マンションの販売戦略を説明できる会社を選ぶ
  8. 築30年マンションを売る7つの手順
    1. STEP1.売却の期限と最低限必要な手取り額を決める
    2. STEP2.購入時と管理・修繕の資料を集める
    3. STEP3.自分でも周辺相場を確認する
    4. STEP4.複数の不動産会社へ査定を依頼する
    5. STEP5.査定額ではなく販売計画を比較する
    6. STEP6.広告と内覧で伝える内容を担当者と共有する
    7. STEP7.反響を分析してから価格を見直す
  9. 築30年マンションの売却で避けたい5つの失敗
    1. 1.購入価格やローン残高だけで売り出し価格を決める
    2. 2.最も高い査定額を出した会社へすぐ決める
    3. 3.査定前に高額なリフォームを始める
    4. 4.古さや不具合を隠す
    5. 5.問い合わせが少ないとすぐに値下げする
  10. よくある質問
  11. まとめ|築30年でも、買主にとっての価値を整理すれば売却できる

築30年マンションは売れるが、築年数以外の価値を伝える必要がある

築30年という理由だけで、マンションが売れなくなるわけではありません。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の2025年の集計では、首都圏で成約した中古マンションのうち、築31年以上の物件は合計37.5%でした。

内訳は、築31~35年が7.1%、築36~40年が6.9%、築41年以上が23.5%です。

つまり、首都圏では築30年を超えた中古マンションも実際に取引されており、築年数だけで「売れない」と判断することはできません。

一方、同じ資料の「対新規登録成約率」は、築31~35年が19.6%、築36~40年が17.4%、築41年以上が20.9%でした。

築26~30年は26.2%で、それより築年数が浅い多くの築年帯では30%を超えています。

ただし、この「対新規登録成約率」は、個々のマンションが売れる確率を示すものではありません。新規登録件数に対して成約件数がどの程度あったかを築年帯別に集計した指標です。

そのため、築30年を超えたら売れないという意味ではありませんが、築浅・築30年以下の物件と同じ条件で売り出せばよいとは限りません。

築30年マンションの売却では、次の両方を理解しておくことが大切です。

  • 築30年を超えても、実際に中古市場で成約している物件は多い
  • 価格設定や物件の魅力の伝え方が合っていなければ、売却に時間がかかる可能性がある

なお、東日本レインズでは、2025年1月以降に成約登録の適正化を目的としたシステム改修を行っており、成約件数に影響している可能性があると注記しています。そのため、2025年の成約件数や成約率を過去の年と単純に比較する場合には注意が必要です。

参考:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」

また、2025年に首都圏で成約した中古マンションの平均築年数は26.58年、新規登録物件の平均築年数は30.08年でした。

平均値なので地域や物件ごとの差はありますが、築30年前後のマンションが中古市場で特別に珍しい存在ではないことがわかります。

参考:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」

僕が2軒を売却して感じたのは、築年数を隠すように見せるより、「この家を買うと、どのような暮らしができるか」を具体的に伝えるほうがよいということです。

築30年マンションが売りにくいといわれる5つの理由

築30年マンションにも需要はありますが、買主が不安を感じやすい点があります。

売却前に、どこが弱みになりそうかを確認しておきましょう。

1.室内設備や配管の老朽化が心配される

キッチン、浴室、給湯器、トイレ、給排水管などが古いと、購入後の修理・交換費用を心配されます。

設備を新しく見せるために不具合を隠すのではなく、交換時期や修繕履歴、現在把握している不具合を不動産会社へ正確に伝えることが必要です。

2.管理状態や修繕積立金を確認される

マンションは、室内だけでなく共用部分の管理状態も購入判断に影響します。

買主は、長期修繕計画、大規模修繕の履歴、修繕積立金の残高、管理費・修繕積立金の値上げ予定などを確認します。

国土交通省のマンション管理情報でも、適切な長期修繕計画では30年以上の計画期間を設け、今後の修繕・改良工事の時期や内容を設定する考え方が示されています。

参考:国土交通省「マンションの管理状況チェックシート」

3.耐震性や住宅ローンを心配される

2026年時点で築30年前後なら、建築時期はおおむね1990年代です。

ただし、耐震基準は築年数だけで断定せず、建築確認日、確認済証・検査済証、耐震診断の有無などで確認します。

住宅ローンの審査や借入期間も金融機関によって異なります。

売主側で融資可否を保証することはできませんが、管理・耐震・修繕に関する資料を準備しておくと、買主が検討しやすくなります。

4.築浅物件と同じ価格では比較されにくい

購入時の価格や住宅ローン残高は、売主にとっては大きな事情です。

しかし、買主が比較するのは、現在売り出されている近隣物件や最近の成約事例です。

「この金額で買ったから」「ローンがこれだけ残っているから」だけでは、現在の売り出し価格の根拠にはなりません。

5.古さ以外の魅力が広告で伝わっていない

築年数や間取りだけを掲載すると、築浅物件より不利に見えます。

一方、駅からの距離、南向き、眺望、公園、学校、買い物のしやすさなどは、室内をリフォームしても作れない価値です。

築古マンションほど、こうした「変えられない価値」を具体的に伝える必要があります。

【体験談1】築35年・3DKを購入価格より300万円高く売却

1軒目は、横浜市にある築35年のマンションです。

項目内容
所在地横浜市
売却時の築年数築35年
間取り3DK
最寄り駅徒歩6分
売却価格と購入価格の差購入価格より300万円高く売却
主に想定した買主新婚夫婦、子どもが独立した夫婦など
実際の売却先リノベーション再販を想定した不動産会社

日当たりのよい時間に内覧を設定した

この部屋は窓の数が限られており、日当たりがよく見える時間帯も決まっていました。

そこで不動産会社に相談し、できるだけ自然光が入る時間に内覧を設定してもらいました。

同じ部屋でも、明るい時間と暗い時間では第一印象が変わります。

もちろん、実際より明るく見せるために説明を誇張したわけではありません。

部屋が本来持っているよさを確認しやすい時間に見てもらった、という工夫です。

午後の日差しが入る築35年3DKのリビングを若い夫婦が内覧している様子

買主像に合わせて周辺の便利さを整理した

駅徒歩6分という立地に加え、近隣のスーパーや外食できる店などをまとめ、入居後の暮らしを想像しやすいようにしました。

新婚夫婦なら通勤や買い物の便利さ、子どもが独立した夫婦なら駅まで歩きやすく生活しやすいことなど、同じ周辺情報でも伝え方は変わります。

室内は片付け、緑の小物も置いて、生活感が強くなりすぎないように整えました。

値引き希望の個人と、満額の不動産会社から話があった

自分たちより少し若いご夫婦からは、値引きを前提とした購入希望がありました。

一方、リノベーションして再販することを想定した不動産会社からは、売り出し価格どおりの購入意思が示されました。

最終的には、満額で購入する不動産会社へ売却しました。

満額で売れたため、「もう少し高く売り出せたのでは」とも感じました。

ただし、結果を見た後だからそう思える面もあります。

売り出し時点で高くしすぎれば、反響が減っていた可能性もあります。

この経験から学んだのは、最初の購入希望だけで急いで決めず、価格、条件、引き渡し時期などを並べて比較することです。

【体験談2】築32年・3LDKを購入価格より200万円高く売却

2軒目も横浜市にある中古マンションです。

項目内容
所在地横浜市
売却時の築年数築32年
間取り3LDK
最寄り駅徒歩11分
売却価格と購入価格の差購入価格より200万円高く売却
主に想定した買主子育て世帯
実際の買主小学生の子どもが2人いる家族

子育て世帯に買ってもらう前提で魅力を整理した

このマンションは駅徒歩11分でした。

1軒目より駅から離れていたため、駅距離だけで比較すると見劣りします。

一方で、小中学校が近く、周辺には広い公園がありました。3LDKという間取りも含めて考えると、子育て世帯との相性がよい物件です。

そこで、幅広い人に曖昧に勧めるのではなく、子育て中の家族を主な買主として想定しました。

南向き、公園、緑という変えられない価値を伝えた

南向きの築32年3LDKから公園と学校を眺め、暮らしをイメージする子育て家族

この部屋は南向きで、ベランダ側には大きめの公園があり、室内から緑が見えました。

また、同じマンション内でも、この間取りの部屋は売りに出る機会が多くありませんでした。

内装は購入後に変えられます。

しかし、向き、眺望、周辺の公園、学校までの距離は簡単には変えられません。

そこで、次の点を中心に伝えました。

  • 南向きであること
  • ベランダ側に大きな公園があること
  • 室内から緑が見えること
  • 小中学校が近いこと
  • 子育て世帯が使いやすい3LDKであること
  • 同じ間取りが売りに出る機会が少ないこと

室内は内覧のたびに整理し、明るい色のカーテンと観葉植物で、部屋の明るさや緑とのつながりが伝わりやすいようにしました。

最終的には、想定していたとおり、小学生の子どもが2人いるご家族に購入していただきました。

築35年3DKは購入価格より300万円高く、築32年3LDKは200万円高く売却した2つの事例比較

2軒の売却で共通して行った4つのこと

2軒の条件も買主も異なりますが、売却時に共通して意識したことがあります。

1.物件がよく見える時間に内覧してもらう

日当たりは時間帯によって変わります。

明るさが魅力の部屋なら、自然光が入りやすい時間を確認し、不動産会社へ共有します。内覧時間を必ず指定できるわけではありませんが、候補時間を提案することはできます。

2.「誰にでもおすすめ」ではなく買主像を考える

買主像を考える目的は、購入できる人を狭めることではありません。

広告や内覧で、何を優先して説明するかを決めるためです。

駅近を重視する共働き夫婦と、学校や公園を重視する子育て世帯では、知りたい情報が異なります。

3.売主しか知らない周辺情報を伝える

不動産会社は、物件の基本情報や相場には詳しい一方、毎日の買い物、通学路、公園の使いやすさなど、実際の暮らしをすべて知っているわけではありません。

そこで、売主が住んで感じた便利さを箇条書きにし、担当者と共有しました。

ただし、「治安がよい」「必ず静か」など、客観的に保証できない表現は避けます。

施設までの距離、営業時間、実際に利用した感想など、確認できる情報を中心にします。

4.内装より、後から変えられない価値を優先した

築30年を超えると、室内の古さだけに目が向きやすくなります。

しかし、買主がリノベーションを前提に探している場合、内装の新しさより、立地、向き、眺望、広さ、間取り、管理状態を重視することがあります。

2軒とも、築年数を打ち消そうとするより、駅からの距離、南向き、公園、学校など、その物件で変えられない価値を整理しました。

購入価格より高く売れても「その差額=利益」ではない

ここは、体験談を読むときに最も注意してほしい点です。

1軒目は購入価格より300万円高く、2軒目は200万円高く売れました。

しかし、売買価格の差額から購入時・保有中・売却時の費用を差し引かなければ、本当に利益が出たかは判断できません。

購入価格より高く売れても利益とは限らない理由と、購入から売却までの家計上の簡易収支を示した図解

まず3種類の金額を分けて考える

金額考え方
売買価格の差額売却価格-購入価格
購入・売却に伴う家計上の簡易収支売却価格-購入価格-購入時諸費用-リフォーム費-売却時諸費用-譲渡所得に対する税金(発生する場合)
税務上の譲渡所得金額譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
課税譲渡所得金額譲渡所得金額-特別控除額(適用できる場合)

1軒目と2軒目を式にすると、次のようになります。

1軒目の購入から売却までの家計上の簡易収支
300万円-購入時諸費用-リフォーム費-売却時諸費用-譲渡所得に対する税金(発生する場合)

※僕の場合はリフォームを行なっていませんのでリフォーム費はゼロです。

2軒目の購入から売却までの家計上の簡易収支
200万円-購入時諸費用-リフォーム費-売却時諸費用-譲渡所得に対する税金(発生する場合)

※僕の場合はリフォームを行なっていませんのでリフォーム費はゼロです。

つまり、1軒目は対象費用の合計が300万円未満、2軒目は200万円未満であれば、購入から売却までの家計上の簡易収支はプラスになります。

反対に、それぞれの差額を対象となる費用が上回れば、購入価格より高く売れていても、家計上の簡易収支はマイナスになります。

この2件について現時点で公開できるのは、売買価格の差額までです。

購入時諸費用、保有期間、リフォーム費、売却費用の実額を確認せず、300万円・200万円をそのまま「利益」と表現することはできません。

保有期間中の費用まで含めると、さらに見方が変わる

住宅の保有中には、次のような費用もかかります。

  • 住宅ローンの利息
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険
  • 室内設備の修理・交換費

これらまで含めれば、住まいの保有期間全体における損益を考えられます。

ただし、自宅にはその期間に暮らした価値があり、賃貸住宅なら家賃がかかっていました。

投資物件の利益計算とは異なるため、単純に「保有費用がかかったから損」とも言い切れません。

自宅売却では、少なくとも次の2段階に分けると整理しやすくなります。

  1. 売買だけでいくら残ったか
  2. 住んでいた期間の費用まで含めると、住居費はいくらだったか

税務上の譲渡所得は、家計上の利益とも計算方法が違う

土地・建物を売ったときの譲渡所得は、原則として次の式で計算します。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

さらに、適用できる特別控除があれば差し引きます。

取得費には購入代金や購入手数料、一定の設備費・改良費などが含まれます。

ただし、建物部分の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

リフォーム費も、すべてが取得費になるわけではありません。

参考:国税庁「取得費となるもの」国税庁「建物の取得費の計算」

また、一定の要件を満たすマイホームの売却では、所有期間にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

自動的に適用されるわけではなく、要件の確認と確定申告が必要です。

参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」

税金は個別条件で変わるため、実際の申告では国税庁の最新情報を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。

本当の利益を確認するために集めたい資料

購入価格より高く売れたかだけでなく、手元にいくら残ったかを確認するなら、次の資料を集めます。

  • 購入時の売買契約書
  • 購入時の精算書・領収書
  • 購入時の仲介手数料や登記費用の記録
  • リフォーム・設備交換の契約書と領収書
  • 売却時の売買契約書
  • 売却時の精算書・領収書
  • 売却時の仲介手数料、印紙税などの記録
  • 住宅ローンの返済履歴や利息額
  • 管理費、修繕積立金、固定資産税などの支払記録

住宅ローンの残高は、売却時に手元へ残る金額には影響します。

ただし、元本返済は借金を減らした金額なので、そのまま売買の費用として扱うものではありません。

築30年マンションを売りやすくする6つのポイント

築30年マンション売却前に確認する、成約価格、管理修繕資料、査定、物件価値、内覧準備、不動産会社比較の6項目

1.同じマンションと近隣の成約価格を調べる

最初に確認したいのは、現在の売り出し価格だけではなく、実際の成約価格です。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、中古マンション等の取引価格や成約価格情報を検索できます。

確認するときは、次の条件を近づけます。

  • 同じマンション、または近隣のマンション
  • 最寄り駅と駅徒歩分数
  • 築年数
  • 専有面積と間取り
  • 階数と方角
  • 取引時期

ポータルサイトの掲載価格は売主の希望価格であり、成約価格とは限りません。両方を分けて見ましょう。

2.管理・修繕に関する資料を準備する

築30年マンションでは、室内のきれいさだけでなく、建物全体の管理状況が確認されます。

不動産会社と相談し、次の情報を整理します。

  • 管理規約
  • 長期修繕計画
  • 大規模修繕工事の履歴と予定
  • 管理費・修繕積立金
  • 修繕積立金の改定予定
  • 管理組合の借入金や滞納状況
  • 耐震診断・耐震改修の有無

管理状態がよい場合は、築年数に対する買主の不安を減らす材料になります。

課題がある場合も隠さず、価格や販売方法へ反映します。

3.高額なリフォームは査定後に判断する

売る前に高額なリフォームをすれば、その費用をすべて売却価格へ上乗せできるとは限りません。買主が自分の好みに合わせてリノベーションしたい場合もあります。

まずは複数の不動産会社へ、次の3パターンを確認しましょう。

  1. 現状のまま売る場合
  2. 清掃や小規模な補修だけ行う場合
  3. リフォームしてから売る場合

各パターンの想定成約価格、費用、売却期間を比較してから決めます。

4.買主像に合わせて変えられない価値を伝える

築古マンションでは、設備の新しさだけで競争しないことがポイントです。

たとえば、次のような価値を整理します。

  • 駅までの距離と道の歩きやすさ
  • スーパー、病院、学校、公園への距離
  • 方角と日当たり
  • 眺望と前面建物との距離
  • 風通し
  • 間取りの使いやすさ
  • 同じマンション内での希少性
  • 管理状態と修繕履歴

「便利」「住みやすい」だけで終わらせず、距離、時間、施設名など、確認できる情報にすると伝わりやすくなります。

5.内覧前は片付け・清掃・換気を優先する

大規模なリフォームをしなくても、内覧時の印象は整えられます。

  • 床に置く物を減らす
  • 水回りを清掃する
  • 玄関と室内を換気する
  • カーテンを開けて照明をつける
  • 収納を詰め込みすぎない
  • 日当たりのよい時間を担当者へ伝える

古さを隠すのではなく、買主が部屋の広さや明るさを確認しやすい状態にします。

6.築古マンションの販売戦略を説明できる会社を選ぶ

査定額が一番高い会社が、最も高く売ってくれるとは限りません。

不動産会社には、次の質問をします。

  • 同じマンションや近隣で、築30年以上の成約実績はあるか
  • 査定に使った成約事例はどれか
  • 想定している買主は誰か
  • 仲介と買取で、それぞれいくらになりそうか
  • 現状のまま売るか、補修するか、どちらを勧めるか
  • 問い合わせが少ない場合、値下げ前に何を見直すか

査定額の根拠や担当者の比較方法は、家を売る不動産会社の選び方|査定額だけで決めてはいけない理由で詳しく解説しています。

築30年マンションを売る7つの手順

STEP1.売却の期限と最低限必要な手取り額を決める

「できるだけ高く売りたい」だけでなく、いつまでに売りたいか、住宅ローンを返した後にいくら残したいかを決めます。

STEP2.購入時と管理・修繕の資料を集める

売買契約書、購入時諸費用、リフォーム履歴、管理規約、長期修繕計画などを集めます。

購入時の書類は、後の税金計算にも関係します。

STEP3.自分でも周辺相場を確認する

不動産情報ライブラリと不動産ポータルサイトを使い、成約価格と売り出し価格を分けて確認します。

STEP4.複数の不動産会社へ査定を依頼する

1社だけでは、その査定額や販売方針が妥当か判断しにくくなります。

最初に数社へ机上査定を依頼し、その中から訪問査定を依頼する会社を絞る方法があります。

会社の探し方は、不動産一括査定サイト5社の比較と目的別の選び方で整理しています。

STEP5.査定額ではなく販売計画を比較する

査定額の根拠、想定買主、広告方法、売却期間、価格見直しの条件を比較します。

STEP6.広告と内覧で伝える内容を担当者と共有する

売主が知っている周辺情報、日当たりのよい時間、管理状態、修繕履歴などを担当者へ伝えます。

STEP7.反響を分析してから価格を見直す

問い合わせが少ないときに、すぐ値下げするとは限りません。

広告写真、説明文、掲載媒体、競合物件、内覧条件、売り出し価格のどこに原因があるかを確認します。

そのうえで、価格を変えるなら、時期と金額を決めます。

売却準備から引き渡しまでの全体像は、家を売る流れを8ステップで解説で確認できます。

住宅ローンが残っている場合は、住宅ローンが残っている家を売る方法と注意点も先に確認してください。

築30年マンションの売却で避けたい5つの失敗

1.購入価格やローン残高だけで売り出し価格を決める

現在の相場と合わなければ、問い合わせが集まりません。

購入時の価格ではなく、直近の成約事例を基準にします。

2.最も高い査定額を出した会社へすぐ決める

査定額は成約価格の保証ではありません。

高い査定額ほど、実現できる根拠と販売計画を確認します。

3.査定前に高額なリフォームを始める

費用を回収できない可能性があります。

現状、部分補修、リフォーム後の3パターンを比べてから判断します。

4.古さや不具合を隠す

把握している不具合や修繕履歴は、不動産会社へ伝えます。

見た目だけを整えても、契約後のトラブルにつながれば意味がありません。

5.問い合わせが少ないとすぐに値下げする

反響が少ない原因は、価格だけとは限りません。

写真、広告文、掲載範囲、内覧条件を確認してから対応します。

よくある質問

Q
築30年マンションは本当に売れますか?
A

築30年を超えても売却できます。実際に首都圏では、築31年以上の中古マンションも継続して成約しています。ただし、立地、管理状態、専有部分の状態、価格、地域需要によって売りやすさは変わります。

Q
築30年なら、すぐ売ったほうがよいですか?
A

築30年だけを理由に急いで売る必要があるとは限りません。住み続ける予定、住宅ローン残高、大規模修繕の予定、管理費・修繕積立金、周辺相場を確認して判断します。

ただし、売却期限が決まってから慌てると、価格交渉で不利になりやすくなります。売るか未定でも、早めに相場を把握しておくと選択肢を比較しやすくなります。

Q
リフォームしてから売るべきですか?
A

高額なリフォームは、査定前に決めないほうが無難です。現状のまま購入して自分好みにリノベーションしたい買主もいます。複数の不動産会社へ、現状・小規模補修・リフォーム後の想定価格と期間を聞いてから判断してください。

Q
仲介と買取はどちらが向いていますか?
A

価格を優先するなら、まず仲介での想定成約価格と期間を確認します。早さや手間の少なさを優先するなら、不動産会社による買取も選択肢です。

買取価格と仲介の査定額は意味が異なります。金額だけでなく、仲介手数料の有無、引き渡し条件、残置物、契約条件まで比較します。

Q
購入価格より高く売れたら税金がかかりますか?
A

購入価格との差額だけでは判断できません。税務上は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引き、適用できる特別控除も考慮して課税譲渡所得を計算します。建物の取得費では減価償却費相当額を差し引くため、家計上の利益とも一致しません。

マイホームの3,000万円特別控除などには要件と申告手続きがあります。国税庁の最新情報を確認してください。

まとめ|築30年でも、買主にとっての価値を整理すれば売却できる

築30年を超えたマンションでも、売却は可能です。

僕が売却した2軒も、築35年と築32年でした。それでも売買価格だけを比べると、1軒目は購入価格より300万円、2軒目は200万円高く売れました。

売却時に意識したのは、次の点です。

  • 日当たりのよい時間に内覧を設定する
  • 買主像に合わせて周辺情報を整理する
  • 駅距離、南向き、公園、学校など変えられない価値を伝える
  • 片付けと清掃で、広さや明るさを確認しやすくする
  • 査定額だけでなく、販売戦略と担当者を比較する

ただし、購入価格より高く売れた差額は、そのまま利益ではありません。購入時諸費用、リフォーム費、売却費用、税金を差し引いて判断します。

築30年マンションの売却を考え始めたら、最初から1社に決めるのではなく、まず現在の相場と複数社の提案を比較してください。

査定を依頼したからといって、必ず売却する必要はありません。不動産一括査定サイト5社の違いと目的別の選び方を確認し、自分の地域と物件に合う相談先を探すところから始めましょう。

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