住宅ローンの借り換えは、今より低い金利の商品に変えれば必ず得になるわけではありません。
借り換えには諸費用がかかり、新しい金融機関での審査や団信の確認も必要です。
さらに、毎月の返済額が下がっても、返済期間や金利タイプの選び方によっては総返済額が想定ほど減らないこともあります。
だからといって、借り換えを避ける必要があるわけではありません。
大切なのは、金利だけではなく、諸費用・総返済額・団信・住宅ローン控除・今後の返済計画まで含めて比較することです。
この記事では、住宅ローン借り換えで見落としやすいデメリットと注意点を整理し、「自分の場合は借り換えた方がよいのか」を考えるための判断材料を解説します。
住宅ローン借り換えのデメリット7つ
住宅ローンの借り換えで確認したい主なデメリットは、次の7つです。
| デメリット | 借り換え前の確認ポイント |
|---|---|
| 1. 諸費用がかかる | 費用を含めても総返済額が減るか |
| 2. 新しい金融機関で審査が必要 | 現在の収入・借入・物件などで申込みできるか |
| 3. 現在の団信をそのまま引き継げない | 新しい団信の条件や保障内容はどうなるか |
| 4. 住宅ローン控除に影響する場合がある | 借り換え後も適用要件を満たすか |
| 5. 金利タイプ変更で別のリスクが生じる | 将来の金利・返済額の変化に対応できるか |
| 6. 返済期間を延ばすと総返済額が増える場合がある | 毎月返済額だけでなく完済までの負担を比較したか |
| 7. 手続きに時間と手間がかかる | 書類準備や新旧金融機関との手続きができるか |

それぞれ詳しく見ていきます。
デメリット1|諸費用がかかる
住宅ローンの借り換えでは、新しいローンを契約するための費用と、現在のローンを完済するための費用が発生する場合があります。
主なものは、
などです。
必要な費用や計算方法は、金融機関・商品・借入額・契約方法によって異なります。
そのため、「今より金利が低い」という理由だけでは借り換えのメリットを判断できません。
比較するときは、
借り換え後に支払う元利返済額+借り換えに必要な諸費用
まで含めて、現在のローンを続けた場合と比較します。
費用を新しい住宅ローンに含められる商品もありますが、費用そのものがなくなるわけではありません。
借入額に含めれば、その部分にも返済負担が生じます。
借り換えで発生する費用の種類や確認方法は、住宅ローン借り換えの諸費用・手数料・保証料・登記費用を解説した記事で詳しくまとめています。

デメリット2|新しい金融機関で審査が必要になる
住宅ローンの借り換えは、現在のローンの条件だけを書き換える手続きではありません。
借り換え先で新しい住宅ローンを契約するため、改めて金融機関による審査があります。
確認される内容や基準は金融機関・商品によって異なりますが、
などが関係することがあります。
現在の住宅ローンを問題なく返済していても、希望する金融機関で同じ条件のローンを利用できるとは限りません。
また、転職前後などは必要書類や申込条件が変わる場合があります。
借り換え時の審査や必要書類については、住宅ローン借り換えの審査と必要書類を解説した記事で確認してください。
転職を予定している、または転職して間もない場合は、住宅ローンの借り換えは転職前・転職後のどちらがよいかを解説した記事も参考になります。
デメリット3|現在の団信をそのまま引き継げない
住宅ローンを借り換えると、現在のローンは完済します。
そのため、現在の住宅ローンに付いている団体信用生命保険(団信)を、そのまま新しい住宅ローンへ移す仕組みではありません。
新しいローンで団信を利用する場合は、借り換え先の商品条件に従って改めて加入条件や保障内容を確認する必要があります。
住宅金融支援機構では、フラット35の借換融資について、借換対象の住宅ローンで加入していた団信の保障は借り換えにより終了し、借換融資で団信への加入を希望する場合は改めて申込みが必要と案内しています。
一方、フラット35借換融資では、健康上の理由などで団信に加入しない場合でも利用できる仕組みがあります。
つまり、「住宅ローンの借り換えではすべての商品で団信加入が必須」と一律には言えません。
確認したいのは、
といった点です。
特に40代になると、最初に住宅ローンを組んだときから健康状態や家族構成が変わっていることもあります。
金利だけでなく、「今の保障を手放してよいか」も含めて比較しましょう。
詳しくは、住宅ローン借り換え時の団信と、希望する団信を利用できない場合の選択肢で解説しています。
参考:住宅金融支援機構「フラット35 借換融資のご利用条件」
デメリット4|住宅ローン控除に影響する場合がある
住宅ローン控除を利用している人は、借り換え後の扱いも確認しておきましょう。
住宅ローンを借り換えただけで、住宅ローン控除が必ず終了するわけではありません。
国税庁では、借り換え後の住宅ローンについて、
といった一定の要件を満たす場合、引き続き住宅ローン控除を受けられるとしています。
ただし、借り換えによって控除期間が最初からやり直しになったり、延長されたりするわけではありません。
また、借り換え時の諸費用などを含めたことで新しい借入額が借り換え直前の住宅ローン残高を上回る場合にも注意が必要です。
国税庁では、この場合の控除対象となる年末残高について、借り換え直前の残高と新しい借入額の割合を使って調整する計算方法を示しています。
そのため、新しいローンの年末残高すべてが、そのまま住宅ローン控除の計算対象になるとは限りません。
住宅ローン控除の適用状況は、入居時期や契約内容などによっても異なります。
個別の税務判断が必要な場合は、税務署や税理士などに確認してください。
参考:国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」
デメリット5|金利タイプを変えると別の金利変動リスクが生じる
住宅ローンには主に、
- 変動金利型
- 固定金利期間選択型
- 全期間固定金利型
があります。
それぞれ金利の決まり方が異なるため、「金利が一番低い商品を選べばよい」とは限りません。
たとえば、固定金利から変動金利へ借り換えると、借り換え時点の返済額が下がる場合があります。
一方で、変動金利は将来の金利見直しによって返済負担が変わる可能性があります。
反対に、変動金利から全期間固定金利へ変える場合は、将来の返済額を見通しやすくなる一方、借り換え時点の適用金利によっては返済額が増えることもあります。
固定期間選択型についても、固定期間が終わった後の金利や優遇条件を確認しておく必要があります。
「変動金利は危険」「固定金利なら安心」と単純に決めるのではなく、
を合わせて考えましょう。
デメリット6|返済期間を延ばすと総返済額が増える場合がある
借り換え後の毎月返済額を下げる方法の一つが、返済期間を長くすることです。
ただし、借り換えで選べる返済期間は金融機関や商品によって異なり、現在の残り返済期間を超えて設定できない商品もあります。
返済期間を長く設定できる場合でも注意が必要です。
返済期間が長くなると月々の返済額は抑えやすくなりますが、利息を支払う期間も長くなります。
そのため、金利が下がっても、条件によっては完済までに支払う総額が増える場合があります。
特に40代では、
「月々いくら減るか」だけでなく「何歳で完済するか」
も見ておきたいところです。
毎月の返済額が下がっても、返済期間が延びて定年後まで返済が続くのであれば、家計への影響は別の角度から考える必要があります。
返済期間を変える場合は、
をセットで比較しましょう。
デメリット7|手続きに時間と手間がかかる
住宅ローンの借り換えは、金利を選んで申込みをするだけでは終わりません。
一般的には、
- 現在の住宅ローン条件を確認する
- 借り換え先を比較する
- 事前審査を申し込む
- 本審査に必要な書類を提出する
- 新しい住宅ローンを契約する
- 現在の住宅ローンを完済する
- 抵当権の抹消・設定などの手続きを行う
といった作業が発生します。
実際の手順や必要書類、手続き期間は金融機関や契約内容によって異なります。
オンラインで手続きできる金融機関もありますが、現在の金融機関への完済連絡や書類準備などが必要になる場合があります。
仕事や子育てで忙しい40代にとっては、この手間も借り換えを判断するときの一つの要素です。
金額面のメリットが小さい場合は、「手続きにかかる時間も含めて借り換える価値があるか」という視点で考えてみましょう。
住宅ローン借り換えで後悔・失敗につながりやすいケース
住宅ローンの借り換えで想定と違う結果になるのは、特定の人に共通した「特徴」があるからとは限りません。
比較する条件が十分でないと、借り換え後に「想定していた結果と違った」と感じることがあります。
| 確認不足の例 | 借り換え前に確認すること |
|---|---|
| 金利だけを見て決めた | 金利・諸費用・総返済額をまとめて比較する |
| 諸費用を含めず計算した | 借り換えに必要な費用を見積もる |
| 団信の保障を確認しなかった | 現在と借り換え後の保障内容を比較する |
| 月々の返済額だけを見て返済期間を延ばした | 総返済額と完済年齢も確認する |
| 住宅ローン控除を確認しなかった | 借り換え後の適用要件と対象残高を確認する |
| 他行への借り換えだけを検討した | 現在のローン継続や現在の銀行での見直しも比較する |

たとえば適用金利が下がっていても、諸費用まで含めると総返済額がほとんど変わらないことがあります。
反対に、総返済額が多少増えたとしても、全期間固定へ変更して返済計画を立てやすくすることを優先する人もいるでしょう。
借り換えの目的は人によって異なります。
「毎月返済額を減らす」「総返済額を抑える」「金利変動への備えを見直す」「保障を見直す」など、まず自分が何を優先するのかを決めておくと比較しやすくなります。
住宅ローン借り換えのメリットが出にくいケース
住宅ローンの借り換えは、すべての人に同じ効果があるわけではありません。
特に次のような状況では借り換え後の条件を慎重に比較したいところです。
借り換え費用を含めると総返済額がほとんど変わらない
金利が下がっても、借り換えには諸費用がかかります。
金利低下による利息の軽減額より諸費用が大きければ、返済負担を減らす目的では借り換えの効果が小さくなります。
完済までの期間が短くなっている
完済までの期間が短ければ今後支払う利息そのものが少なくなっています。
そのため、借り換えによって削減できる利息も小さくなることがあります。
借入残高が少なくなっている
借入残高が減っている場合も同様です。
同じ金利差でも、残高によって借り換えによる利息の差は変わります。
現在の住宅ローンの条件がすでに有利
現在の住宅ローンの金利や手数料、団信などの条件が自分に合っている場合、新しいローンへ変更するメリットが小さいこともあります。
現在の団信・保障を維持したい
現在利用している団信の保障内容を重視している場合は、新しいローンの金利だけで判断しない方がよいでしょう。
希望する保障を新しいローンでは利用できない場合、現在の住宅ローンを続ける方が自分の目的に合うこともあります。
借り換えによる効果は、現在の借入残高・残り返済期間・金利差・諸費用・金利タイプ・団信などの条件によって異なります。
固定的な数値だけで判断するのではなく、自分の住宅ローン条件を使って個別にシミュレーションすることが基本です。
借り換える前に確認したい5つのポイント
ここまでのデメリットを踏まえ、借り換えを検討するときは次の5ステップで整理すると比較しやすくなります。

STEP1|現在の住宅ローン条件を確認する
まず現在の住宅ローンについて、
を確認します。
返済予定表や金融機関のWebサービスを確認すると整理しやすいでしょう。
現在の条件が分からなければ、借り換え後との正確な比較もできません。
STEP2|借り換え後の総返済額を試算する
候補となる住宅ローンが見つかったら、毎月返済額だけではなく、完済までの返済負担も試算します。
特に確認したいのは、
「現在のローンを続けた場合」と「借り換えた場合」の今後の負担差
です。
ただし、変動金利を選ぶ場合は将来の金利が確定していないため、将来の総返済額も確定値ではありません。
シミュレーションで表示される総返済額は、設定した金利などの前提条件に基づく試算として確認しましょう。
可能であれば、金利が変化した場合の返済額もあわせて確認しておくと、条件を比較しやすくなります。
借入残高、返済期間、金利などによって結果は変わります。
試算方法は住宅ローン借り換えシミュレーション|金利・残高・諸費用で総負担を比較する方法で詳しく解説しています。
STEP3|諸費用を確認する
次に、借り換えに必要な費用を加えます。
金融機関が表示している毎月返済額だけを比較すると、事務手数料や登記費用などが抜ける場合があります。
借り換え費用を自己資金で支払うのか新しいローンに含めるのかによっても比較方法は変わります。
新しいローンに費用を含める場合は返済額に反映されるため、計算時に費用を二重計上しないよう注意してください。
借り換えで発生する費用の種類や確認方法は、住宅ローン借り換えの諸費用はいくら?手数料・保証料・登記費用を解説で詳しく整理しています。
STEP4|団信・金利タイプ・住宅ローン控除を比較する
数字だけでは判断できない条件も確認します。
特に、
は、借り換え後の家計や保障に影響します。
金利が少し低いという理由だけで、現在より必要な保障が少なくなったり、自分の返済計画に合わない金利タイプになったりしていないか確認しましょう。
団信の加入条件や保障内容が気になる場合は、住宅ローン借り換えで団信に入れない場合は?ワイド団信・団信なしの選択肢を解説も参考にしてください。
STEP5|3つの選択肢を並べて比較する
最後は、「借り換えるか、借り換えないか」の2択にしないことがポイントです。
次の3つを並べて比較します。
- 現在の住宅ローンをそのまま続ける
- 現在の金融機関で金利や条件の見直しを相談する
- 他の金融機関へ借り換える
現在の金融機関での条件見直しは、新しい住宅ローンへの借り換えとは別の手続きです。
対応できる内容や条件は金融機関によって異なります。
詳しくは、住宅ローンは同じ銀行で借り換えできる?引き止め・金利交渉の成功率の高め方と注意点で解説しています。
他行への借り換え候補まで比較したい場合は、住宅ローン借り換え比較ガイド|金利・諸費用・団信で候補を選ぶ方法を確認してください。
借り換えの目的は、借り換えること自体ではありません。
これからの返済負担・保障・金利変動などを含め、自分の家計に合う住宅ローンの条件を選ぶことです。
比較した結果、「今のローンを続ける」という結論になっても問題ありません。
住宅ローン借り換えのよくある質問
- Q住宅ローンを借り換えると必ず得になりますか?
- A
いいえ。借入残高、残り返済期間、金利差、諸費用、団信、住宅ローン控除などによって結果は変わります。
金利だけではなく、借り換えに必要な費用を含め、現在のローンを続ける場合と比較してください。
- Q住宅ローンの借り換えにはどんな費用がかかりますか?
- A
金融機関や商品によって異なりますが、融資事務手数料、登記関係費用、司法書士報酬、現在のローンの完済に伴う費用などが発生する場合があります。
保証料が必要な商品もあります。
- Q借り換えると団信はどうなりますか?
- A
現在の住宅ローンを完済すると、そのローンに付いている団信の保障も終了するのが一般的です。
新しい住宅ローンで団信を利用する場合は、借り換え先の商品条件に従って加入条件や保障内容を確認します。団信の取扱いは金融機関や商品によって異なります。
- Q住宅ローン控除中でも借り換えできますか?
- A
住宅ローン控除を利用中であること自体は、借り換えを一律に妨げるものではありません。借り換え先の審査や商品条件を満たす必要があります。
一定の要件を満たせば借り換え後も住宅ローン控除を受けられる場合がありますが、借り換えによって控除期間が延びるわけではありません。
適用条件に不明点がある場合は、税務署や税理士などへ確認してください。
- Q今の銀行に金利の見直しを相談してから借り換えてもよいですか?
- A
現在の金融機関に、利用できる金利タイプや条件変更などについて確認することも比較方法の一つです。
ただし、対応できる内容や条件は金融機関によって異なります。
現在のローン継続、現在の金融機関での見直し、他行への借り換えを同じ条件で比較すると判断しやすくなります。
まとめ|デメリットも含めて総返済額と条件を比較しよう
住宅ローンの借り換えは、金利だけを見て判断するものではありません。
借り換え前には、
まで確認しましょう。
借り換えによって毎月返済額が下がっても、諸費用や返済期間まで含めると想定ほど返済負担が減らない場合があります。
また、変動金利では将来の金利が確定していないため、シミュレーション結果も前提条件に基づく試算として見る必要があります。
一方、総返済額だけではなく、金利変動への備えや団信の保障を見直すことを目的に借り換える考え方もあります。
大切なのは借り換えることを目的にしないことです。
「現在のローンを続ける」「現在の金融機関で条件を見直す」「他行へ借り換える」の3つを比較して、自分の家計や今後の暮らしに合う方法を選びましょう。
まず数字で比較したい場合は、住宅ローン借り換えシミュレーション|金利・残高・諸費用で総負担を比較する方法で現在の条件と借り換え後の条件を整理してみてください。
そのうえで借り換えを選択肢として残す場合は、住宅ローン借り換え比較ガイド|金利・諸費用・団信で候補を選ぶ方法で候補を比較してみてください。

